本研究は単環縫ミシン (ステッチタイプ: 101) 縫製による縫目の伸長性について明らかにしたものである.結果をまとめると次のようである.
1) 破断に至る縫目の最大伸長率は, 縫目における縫糸消費長と直線的な対応関係にある.
2) 針棒天秤とミシン針の中間において, 動的な縫糸張力が測定されたが, 縫糸がルーパのボディ中央に把持される時点の張力値
Fr.pが縫目の引き締めと関係が深く, 縫糸消費長を考える上で重要である.
3) 本実験範囲内においては, 張力設定やステッチ長さが変化しても, (
lr-la) と
Fr.pの間には両対数グラフ上で近似的な直線関係が成り立つ.ここで
ltは縫糸や布にたるみやひずみを生じていない理想的な状態における1ステッチあたりの糸長であり,
laは実測値である.
4) 以上の関係を用いれば, 任意の縫製条件において
Fr.pを知ることにより, 縫目の縫糸消費長や破断伸長率を推定することができる.
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