優れたビルダーの探索を目的として, 価数の異なるリン酸三ナトリウム (SP) , 二リン酸ナトリウム (TSPP) , 三リン酸ナトリウム (STPP) , 及びクエン酸ナトリウム (C-Na) を用いて, 酸化鉄 (III) 粒子の分散安定性ならびにナイロン布への付着に及ぼすキレート剤の効果について検討した.硬水中におけるキレート作用, 粒子及び布のζ電位, 凝集粒子の粒度分布及び粒子径, 布への付着量をpH10, イオン強度1×10
-2, 30℃の規定条件下でビルダー濃度の関数として測定した.
その結果, 粒子の凝集及び布への付着は, キレート化合物の吸着による粒子の界面電気現象に大きく影響されることが明らかとなった.したがって, リン酸塩代替ビルダーとしては, キレート作用及び生成したキレート化合物の電荷の点より解離基数が大きいことが, また, 電位効果に寄与するためには, 吸着特性に優れたものでなければならないことが示唆された.
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