アミノ酸系界面活性剤を酸素系漂白剤 (過炭酸ナトリウム, 過酸化水素) による繊維製品の漂白系に応用し, これが金属錯塩染料染色物の漂白による布の劣化と変退色防止にどの程度の効果がみられるかを検討した.
使用した界面活性剤は, アミノ酸系のN-ステアロイル-L-グルタミン酸ジナトリウム (HS-21, 味の素中央研究所提供) および, 対照として通常アニオン系でよく用いられているドデシル硫酸ナトリウム (SDS) の2種類とした.
漂白過程では, 金属原子 (本実験では銅) が触媒となり, 漂白剤の分解速度が著しく促進され, これが繊維製品の劣化と変退色の原因になると考えられたが, 漂白系に上記のHS-21を添加しておくと, これらの変化が抑制され, 界面活性剤無添加の場合は, もちろん, SDS添加の場合に比べても, これらの変化の抑制に対して, きわめて有効であることがわかった.
このような実験結果から, HS-21は, 繊維上の染料に配位している金属と相互作用し, 触媒活性の金属を封鎖したものと推定した.
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