カレンダ加工織物の基本的な力学的性質, すなわち伸長変形特性, せん断変形特性, 曲げ変形特性, 圧縮変形特性を計測し, カレンダ加工によって生じるこれらの性質の変化について, 前報の成果をふまえて検討した.その結果,
(1) 糸交差部での接触面積や交差圧の増加, 糸間の接触状態の変化などにより, いずれの織物においても, せん断変形特性が最も著しい影響を受け, せん断剛さとせん断ヒステリシスは大きく増加する.
(2) 綿ブロードでは, 20℃の低温処理で揉みほぐし, 柔軟化効果が認められるのに対し, 150℃の高温処理では織物は硬くなり, ペーパーライクなものになる.
(3) 合繊織物では全般的に曲げ剛性および曲げヒステリシスの変化が小さい.
(4) ナイロンタフタの力学的性質の変化は, 綿ブロード, ポリエステルタフタのそれと相違するところが多く, また複雑で, 熱的な影響を強く受ける.
(5) せん断, 曲げ, 引張り, 圧縮の4つの基本特性より円形図表を作製し, カレンダ処理による力学的性質の変化のパターンを明らかにした.
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