綿, レーヨン, ビニロン織物の水洗濯による収縮に及ぼす機械作用の影響について, 洗濯機のパルセーター回転速度, 洗濯時間を変えて検討した.結果は次の通りである.
1) 洗浴に布を加えることにより増加した電力消費量 (エネルギー増分) が, 布に加えられた機械エネルギーに相当するものと仮定した場合, 供試各織物について, 収縮率はパルセーター回転速度, 洗濯時間を変えても, 単位布重量当りのエネルギー増分によって定まる.
2) 収縮は, 浸せきするだけで生じる第1段階低い機械エネルギーで生じる第2段階そしてより高い機械エネルギーを受けて生じる第3段階に分けることができ, 第1段階に相当する弾性要素と, 第2, 3段階に相当する2つのフォークト要素を直列につないだ力学模型で, クリープ回復現象として説明できる.そして, クリープ同復は機械力によって促進され, 遅延時間に仕事率 (単位時間, 単位布重量当りのエネルギー増分) を乗じたものとして, 遅延エネルギー (仮称) を定義した.遅延エネルギーは, 本実験で使用した親水性繊維織物ではいずれも第2段階で約0.3×10
4J/kg, 第3段階で約19×10
4J/kgであった.
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