人間が衣服を着用する目的は身体面からの実用志向と感性に訴える情緒志向との二面がある.
現在ではごく限られた機会にしか着用されていない和服の場合, 和服に対する態度や, それを着用しようとする行動意図は, 人間の感性に基因するものではないかと考え, 調査によってその検討を試みた.
調査は愛知県, 岐阜県に居住する女子短大生 (429名) と, その母親 (403名) を対象とし, 質問紙法によった.
調査項目は, 1.生活行動38項目, 2.和服行動26項目である.
上記の数値を年齢層別 (学生層, 母親層) , 感度群別 (感度尺度項目20による調査により, H・M・Lの3種に分けた) に, 平均評定値によるプロフィールの考察を行った.
4-1生活行動について
各種の生活行動は, 学生層の方が母親層より積極的である.商品購入態度は学生層が外見的, 浪費的傾向であり, 商品購入に対して関心が強く外向性がみられる.M群に有意な差が認められた.生活満足度は母親層の数値が高く, 母親層は各種の生活における事実を客観的に認識しているが, 有意な差は認められない.
4-2和服行動について
和服に対する価値観は概して母親層の数値が高い傾向である.着用機会は学生層, 母親層では異なるが, いずれも晴れ着として強い関心を示す.学生層は成人式であり, 母親層は冠婚葬祭, 子供の入学式・卒業式に高い数値を示す.ニュー和服に対する価値観は学生層の数値がやや高い.学生層は世情の変化に関して母親層より敏感に反応を示す傾向がみられるが, いずれも有意な差は認められない.
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