ポリエステル繊維の難燃化に関する基礎的研究として, ポリエステル繊維の難燃性能とポリエステル繊維中のプロム (Br) とリン (P) の含有量との関連性について両成分の相互の比率の広い領域にわたって検討した.
PET繊維に対するBrとPの親和性を比較すると, 前者は後者より高い.すなわち, 両者いずれかを含む飽和溶液で処理したPET織物において, 処理液中のPの濃度はBrのそれの1/2程度であるにもかかわらず織物へ付着したPの量はBrの1/9~1/10であることが示された.
BrとP単独ではどちらも十分な難燃性能を示さない.しかしBrが6.5%以上含有されていれば, 0.1%以下の少量でも, Pの共存により十分な難燃性能を示す.Brの含有量が低いと十分な難燃性を得るにはより高いPの含有量を必要とするが, Brの含有量が一定のレベル以上の場合はP/Br=1/100の少量のP含有量で難燃性能の向上がみられた.このような現象は明らかにBrとPの相乗効果を立証している.
すべての場合, BrはPET織物上へ保持される量が多いため支配的因子として働らく.BrとPの相乗効果は周囲の温度が高い環境時にも反映するのがみられたが, これは高温雰囲気においての難燃性能の低下がBrとP両者を含む試料において未加工およびBr, P単独に含む試料より少ないことによって裏付けられた. (高温では同じ試料でもLOI値が低下するがその理由は本文中に記載してある)
抄録全体を表示