繊維製品消費科学
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33 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中西 茂子, 福井 典代, 青木 千賀子
    1992 年 33 巻 12 号 p. 633-641
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    消費科学的かつ実用的見地から, 綿布に防炎性と撥水性の両性能を有する併用加工に着目し, 両加工効果が最も良好に発揮される加工条件の設定を試みた.その結果, 今回検討を試みた条件下の範囲内では, 次のような所見が得られた.
    1.一時性防炎加工剤を用いた併用加工の場合は, 撥水剤にはフッ素系のスコッチガードが最も高い適合性を示した.その撥水剤の濃度は, 防炎剤Nでは防炎剤30%に対してスコッチガード7%, 防炎剤Bでは防炎剤20%に対してスコッチガード3%が良好な値を示した.キュアリング条件としては, 150℃, 7minが適当であった.
    2.耐洗濯性防炎加工剤との併用では, 撥水剤は防炎剤Cの場合にはフッ素系のスコッチガード, 防炎剤Pに対してはシリコン系のゲラネックスが適当であることが示された.この場合のキュアリングは, 160℃, 4.5minの条件が最も妥当であることが認められた.ソーピング条件は, Cの場合は40℃, 5min, Pの場合は90℃, 0.5minが最も推奨される.さらに, 25回洗濯後の結果から, 防炎剤Pとゲラネックスとの併用の場合は防炎性の方が, 一方防炎剤Cとスコッチガードとの併用では撥水性の方がより優れた耐洗濯性を示すことが認められた.
  • (第2報) ―基質形態が泡沫染色における液流におよぼす影響―
    小林 政司, 北村 淑子, 皆川 基
    1992 年 33 巻 12 号 p. 642-648
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    分散染料 (C.I. Disperse Violet 1) によるナイロン6の泡沫染色において発生する基質周囲の液流が基質形態によりどのような影響を受けるのかをNewmanの式を用いて求めた拡散の境界層の厚さを指標に検討した.
    1) ナイロン6モスリン基質の泡沫染色 (80℃, 空気流量1dm3 min-1) において, 染料の繊維内拡散係数Df=1.04×10-8cm2 min-1, 境界層パラメータL=1.48, 拡散の境界層の厚さδD=10.4×10-3cmが得られた.
    2) 泡沫染色における拡散の境界層の厚さが基質形態により異なることから, プラトー境界の移動は布状基質の表面およびそれを構成する糸の表面における液流に大きな影響を与えると判断される.また糸を構成する単繊維周囲の液流については排液作用による液流が重要となると予想される.
  • (第3報) ―プラウスの衣服圧について―
    間壁 治子, 百田 裕子, 三野 たまき, 上田 一夫
    1992 年 33 巻 12 号 p. 649-660
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    上肢動作に追従性のよい衣服パターンを求めて, ゆとりの設定部位や, 袖付け角度, 脇丈等の異なるブラウスの実験衣を用いて, 上肢動作時の衣服圧の測定と官能評価とを行った結果, 次のようなことが明らかになった.
    1) 肩先や袖上部にゆとりが少なく, 脇丈の短い実験衣A45では, 測定部位c (前腋窩点の上腕側より約3cm下) で高い圧が発生した.他方, 各部位に適度なゆとりをもつ実験衣S60とBでは測定部位a (前腋窩点の上腕側) で高い圧が計測された.上肢135°上挙時で, 着衣が安定したときの衣服圧は, 実験衣A45の部位cでは29.2~35.2mmHg, S60とBとの部位aでは15.3~21.8mmHgであった.
    2) 測定部位cにおいて, 上肢135°上挙時に発生する衣服圧に対する官能評価を行ったところ, 圧値が0~20mmHgでは圧迫感なし又はやや圧迫を感じる, 20~30mmHgでは中程度の圧迫を感じる, 30mmHg以上では強い圧迫を感じて非常に不快であると回答された.
    3) 上肢動作に追従性がよく着心地が良い衣服パターンの条件として, 前・後丈の設定が良いこと, 衿ぐりや肩部の適合が良いこと, 更に, 肩先や袖上部にゆとりがあり脇丈が適度に長いことが衣服圧の計測結果からも確認された.
  • (第5報) ―肌触りに関わる素材物性の客観的評価―
    鋤柄 佐千子, 藤本 尊子, 丹羽 雅子
    1992 年 33 巻 12 号 p. 661-669
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    代表的なパンティーストッキングの編み構造であるウーリー, シアー, サポートタイプ2種の計4種類の肌触りに関する性能評価を着用実験, 並びに力学的, 表面特性の測定によりおこなった.その結果, 20℃, 67%RHの環境下の皮膚表面が汗で濡れていない状態では, 肌に対する刺激がソフトなものが高い評価を得る傾向がある.これは布の力学的性質, 表面特性において, 圧縮, 引っ張りの直線性, 表面粗さ (SMD) が小さいことにあらわれている.一方, 27℃, 70%RHで, 運動条件が伴う場合では素材間の肌触り感覚に差はみられなかった.また表面特性の評価には, 着用レベルに伸張した布の測定並びに摩擦する方向を考慮する必要性が明らかになった.一方, 摩擦子を走査させる速度が動摩擦係数に及ぼす影響は本実験の範囲では小さいことがわかった.
  • 小川 育子
    1992 年 33 巻 12 号 p. 670-676
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    市販螢光増白布の実用系に近い洗浄系での螢光増白剤 (FBA) の物質収支について検討を行った.トリアジニルスチルベン系FBAにより処理された市販螢光増白綿布2種および同じFBAで直接増白処理をした綿布2種を, 電気洗濯機により, ビススチルベン系FBA配合, 未配合の市販洗剤各1種を用いて繰り返し洗浄した.洗浄前後の綿布上のFBAをHPLCにより同定, 定量した.
    この結果, 以下の点が明らかとなった.市販増白布は直接染色増白布に比べ, 洗浄によるFBAの脱落量がかなり多い.洗剤配合FBAは増白布からのFBA脱落の一部を補っていた.本実験条件下では, 洗剤から布へのFBA染着量と, 布から脱落したFBA量とには高い相関関係がみられた.また, 洗浄後の布の反射率は, どの洗浄条件下でもほとんど低下しなかった.
  • (第5報) ―アルキル硫酸ナトリウムの炭素鎖長が洗浄性に及ぼす影響について―
    劉 波, 大矢 勝, 佐藤 昌子, 皆川 基
    1992 年 33 巻 12 号 p. 677-683
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    アルキル硫酸ナトリウムの炭素鎖長と起泡力, 泡沫安定性, 泡倍率などの泡沫物性との関係を調べた.さらに, これらの泡沫物性が酸化鉄 (III) 粒子汚れの洗浄性に及ぼす影響を離脱作用と運び出し作用の観点から検討した.
    4種のアルキル硫酸ナトリウム (C12~C18) が完全に溶解する70℃の温度条件では, 炭素鎖長が増すにつれ, 起泡力, 泡沫安定性, 膜の厚さが増大する.
    4種のアルキル硫酸ナトリウムの中では, C16の離脱作用が最も大きい.汚れの運び出し作用は泡沫内部王, 泡膜の動的表面張力, 膜の厚さなどによって決定される.アルキル硫酸ナトリウムの洗浄性は運び出し作用よりも離脱作用に大きく左右される.C16の洗浄率が最も高く, C12の洗浄率が最も低い.また, 離脱作用が一定になるのにC16が最も速く, C12は最も遅い.
  • 谷田貝 麻美子, 駒城 素子
    1992 年 33 巻 12 号 p. 684-688
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
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