上肢動作に追従性のよい衣服パターンを求めて, ゆとりの設定部位や, 袖付け角度, 脇丈等の異なるブラウスの実験衣を用いて, 上肢動作時の衣服圧の測定と官能評価とを行った結果, 次のようなことが明らかになった.
1) 肩先や袖上部にゆとりが少なく, 脇丈の短い実験衣A45では, 測定部位c (前腋窩点の上腕側より約3cm下) で高い圧が発生した.他方, 各部位に適度なゆとりをもつ実験衣S60とBでは測定部位a (前腋窩点の上腕側) で高い圧が計測された.上肢135°上挙時で, 着衣が安定したときの衣服圧は, 実験衣A45の部位cでは29.2~35.2mmHg, S60とBとの部位aでは15.3~21.8mmHgであった.
2) 測定部位cにおいて, 上肢135°上挙時に発生する衣服圧に対する官能評価を行ったところ, 圧値が0~20mmHgでは圧迫感なし又はやや圧迫を感じる, 20~30mmHgでは中程度の圧迫を感じる, 30mmHg以上では強い圧迫を感じて非常に不快であると回答された.
3) 上肢動作に追従性がよく着心地が良い衣服パターンの条件として, 前・後丈の設定が良いこと, 衿ぐりや肩部の適合が良いこと, 更に, 肩先や袖上部にゆとりがあり脇丈が適度に長いことが衣服圧の計測結果からも確認された.
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