繊維製品消費科学
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34 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 川端 厚子, 登倉 尋實
    1993 年 34 巻 12 号 p. 627-632
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    ハイヒール高さの差異が皮膚温と衣服内気候に与える影響を観察するために実験が, 1990年5月から6月にかけて大学の建物の屋上で6人の青年女子を被験者にして行われた.二種類のタイプの靴, すなわちハイヒール靴 (ヒール高: 6.0cm, 重量330g) とロウヒール靴 (ヒール高: 2.5cm, 重量320g) が用意された.靴材料は, 天然皮革で, 色は白であった.実験フィールドにおける気温は, 23~28℃, 相対湿度は, 55~65%, 黒球温度は, 28~36℃, 風速は, 0.6~1.7m/secであった.90分間の実験期間中温熱生理パラメーターと衣服内気候が連続的に測定された.被験者は, 20分間メトロノームのアンダンティーノにあわせて日向を歩行し, その後10分間日陰で休息した.これらのスケジュールを3回繰り返した.主要な結果は, 1) 下腿と足背の皮膚温は, ロウヒール靴着用時よりもハイヒール靴着用時において, 90分間の実験期間中, 大部分の間有意に低く保たれた.2) 下腿前方の衣服内温度と衣服内湿度は, 90分間の実験期間中ロウヒール靴着用時よりもハイヒール靴着用時において, それぞれ約半分および大部分において有意に低く保たれた.
    両靴間における大腿と足背の皮膚温が異なっていたという本実験の主要な結果がハイヒール靴着用とロウヒール靴着用によって生じる皮膚の血管運動をコントロールする交換神経系の興奮レベルが異なるという視点から論じられた.
  • (第5報) ―新水流式洗濯機における洗濯ネットの効果―
    白岩 治己
    1993 年 34 巻 12 号 p. 633-639
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    いわゆる新水流式洗濯機について, 熱量法により洗浄のために消費された機械エネルギーを求め, 洗濯ネットの効果について検討した.
    1) 布を加えることにより増加した機械エネルギー (エネルギー増分) が, 布に加えられた機械エネルギーに相当するものと仮定した場合, 単位布質量当たりのエネルギー増分は, 洗濯ネットのサイズによらずその使用により極高浴比を除き同一浴比で低下する.洗濯ネットの使用は, 洗濯布を一つにまとめ, 洗浴中における洗濯布の分布を不均一化し, 見かけの粘性抵抗を低下させる効果がある.
    2) 洗濯ネットを使用すると, 布に加えられた機械エネルギーが同じでも洗浄率は低くなる.洗浄率に洗濯布のサイズの影響がないことから, 洗濯ネットの使用は, 洗濯布を一つの塊にまとめ, 回転翼の急速反転時における布の部分的変形を抑制する作用があるものと推定した.
  • 小菅 啓子, 井上 和子, 富田 弘美, 杉山 真理, 小林 茂雄
    1993 年 34 巻 12 号 p. 640-651
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    下着と上着の着用意識の関係, 並びに, 下着・上着の着用意識と社会心理的特性との関係を検討することを目的とし, 学生・OL・母親を対象に質問紙法により調査を行った.主な結果は次の通りである.
    (1) 下着・上着の着用意識について, それぞれ, 因子分析を行い各々8因子を抽出した.下着の因子は, コーディネイト志向, デザイン性, 規範意識, 機能性, 習慣性, 趣味嗜好性, 経済性, 着用感である.上着の因子は, ファッション志向, 多様嗜好, 心理安定感, 自己顕示, 個性化, 経済性, 外観性, 素材意識である.
    (2) 抽出された下着及び上着の着用意識の各因子間の相関を, 正準相関分析により解析した.下着の経済性の因子は, 上着の経済性, 多様嗜好性の因子との間に関連があり, 更に下着のコーディネイト志向の因子は, 上着の自己顕示, ファッション志向, 心理安定感, 素材意識との間に関連がある.
    (3) 下着・上着の着用意識と社会心理的特性の関係は, 双方の着用意識について, 自己顕示欲と好奇心との間に相関の有意性が認められた.
    (4) 被験者群の違いは, 下着の着用意識において, 母親は実用性, 学生は経済性を重視する傾向にあり, 上着の着用意識においては, 学生・OLは服装によって心理安定感を得, 母親は経済性や素材意識などの機能面を重視していることが認められた.更に, 社会心理的特性については, 学生は同調と情報欲求, OLは自己顕示欲, 母親は同調の各特性と, 下着の着用意識との間に相関の有意性が多く認められた.
  • (第2報) ―各種布帛の紫外線遮蔽性―
    坂本 光, 桑原 久治
    1993 年 34 巻 12 号 p. 652-659
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    各種布帛の紫外線遮蔽性を調査し, 次の結果を得た;
    1) 繊維素材としては芳香族ポリエステル繊維, 次いで羊毛が他素材より高い遮蔽性能を有している.
    2) 布帛の仕様と紫外線遮蔽性の関係は次の通り;
    (1) 目付の高い布帛ほど遮蔽性が優れている.
    (2) 通気度の小さい布帛ほど紫外線を遮蔽する.
    (3) 透け性が小さいほど遮蔽性が高い.
    (4) 織物の方が編物より遮蔽性が優れている.
    (5) 使用される繊維がステープルファイバーの方がフィラメントヤーンより紫外線を遮蔽する.
    (6) フィラメントヤーンでも延伸糸より仮撚加工糸の方が遮蔽性に優れている.
    (7) 布帛の色相が暗いほど, また濃色であるほど紫外線遮蔽性能が高い.同じ色調であれば明度Lの低下と共に遮蔽性は直線的に向上する.
    また遮蔽性が小さい原布は改善効果が大きい.
  • (第7報) ―種々の基質に付着させた球状ポリスチレンラテックス粒子の除去挙動―
    日景 弥生, 岩崎 芳枝, 矢部 章彦
    1993 年 34 巻 12 号 p. 660-667
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    粒子除去のメカニズムを検討するために, ポリスチレンラテックス粒子をセルロース, アセテート及びポリエステル基質に付着させて, 開発した流体力洗浄装置により洗浄し, 粒子除去力FH1/2を算定した.さらにVTR装置とパーソナルコンピュータを用いて除去される粒子の挙動を観察・分析し, 既に報告したガラス基質の結果と比較した.結果を以下に示す.
    1.FH1/2は粒子径別では1.01μm<5.00μm<15.0μmの順となり, 基質別ではセルロース<ガラス<アセテート<ポリエステルの順となった.
    2.粒子除去の挙動は, 既に報告したようにA型とB型の2つのタイプがあった.A型の割合は基質の親水性に影響された.
    3.A型により除去される粒子の軌跡を求めたところ, 2つのタイプ, すなわちA1型とA2型のあることが確認でき, 流速が増すとA1型が増加しA2型は減少した.移動速度は, 既にガラス基質で報告したようにA1型の方がA2型により速くなった.5.00μmポリスチレンラテックス粒子では, A1型とA2型の割合は, セルロース<ガラス<アセテート<ポリエステルの順となり基質の親水性に影響された.
  • 枡田 庸, 牛田 聡子, 柴田 利男
    1993 年 34 巻 12 号 p. 668-677
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 自己および異性の身体特性に対する意識と自己の身体に対する満足度について, さらにこれらの身体意識と自意識の関係について, 男子大学生を対象に検討したものである.主な結果は次のように要約できる.
    1) 自己の身体特性に対する意識は, 全身の見えに関する項目を除いて一般に低い.異性の身体特性に対する意識も, 類似した傾向を示すが, 自己の身体意識に比べると一般に高い意識を示した.特にウエストの太さ, バストのふくらみに対して高い意識が持たれ, これらの項目が異性の身体的魅力を決定する際, 重要視されることがわかった.
    2) 自己と異性に対する両意識間の相関を求めた結果, 自己の顔の見えに関する意識を除いて, 両者に正の関係がみられた.
    3) 自己の身体特性について, 公的自意識高群は, 50項目中20項目で高い値を示しており, 他者に関心が向きやすい人は自己の身体特性に対しても高い意識を持つことがわかった.異性の身体特性についても, 公的自意識高群は, 47項目で高い値を示しており, 異性の身体特性をより意識している.
    4) 自己の身体に対する満足度は, ほぼ尺度中央値に近い値を示しており, 満足でも不満でもない.自己の身体意識と満足度の関係は, 一般に意識しているほど不満足度も高いが, スタイルや全身の見えに関しては, 意識しているほど満足度が高いという関係も見られ, 身体特性の側面によって異なっていた.
    5) 身体の満足度と自意識の関係について, 公的自意識高群は低群に比べて不満足とする項目は, 自己の身体意識において, 低群より意識の高かった項目とほぼ一致する.
  • 岡田 安代, 村田 淳子, 森田 全三
    1993 年 34 巻 12 号 p. 678-685
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    乳酸のみを汗液成分とする光-汗複合堅ろう度試験方法を確立することを目的に, 2種類のビニルスルホン系反応染料で染色した綿布を用いて, その条件設定について検討した.汗液浸漬後の絞り率が特に初期露光時の変退色量に関係するので, 遠心脱水法で絞るのが適当である.汗液への浸漬時間は, 汗液の濃度にも関係するが, 0.2M乳酸 (pH6) の場合, 約30分間必要である.但し, 濃度が低くなると, より長時間の浸漬が必要となる.変退色に及ぼす汗液のpH効果は, 供試染料に対してはあまり大きくない.乳酸濃度 (pH6) は, 0.2Mの場合が, 退色量が露光時間に比例し, 染色濃度の効果が少なく, 汗液として最適と結論できる.
  • 樋口 才二
    1993 年 34 巻 12 号 p. 686-691
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
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