着用, 洗濯を繰り返した後, 暗所などに保管しておいた白い肌着類が黄変する現象に対する, 洗濯物乾燥中の布が受けた日光刺激の影響などを, 皮脂汚れ成分のスクアレンやトリオレインの付着した布を用いて追求した.結果は次の通り.
日光刺激は自動酸化の連鎖反応のきっかけを作り, 布を暗所に保管しておいても, 明らかに布の黄変を助長する.このとき, 日なた干し試料布も日陰干し試料布も黄変度に差はあるが, 保存日数の増加による黄変度の変化状況は比較的よく似た傾向を示す.しかし, 日なた干しと日陰干しでは保存直前のb値は比較的近似しているのに, その後の布の黄変度は前者が大きく, 後者は大分小さく, さらに収納直前の試料布のPOVは前者は小さく, 後者は前者の約16倍であり, 保管中の黄変進行の様子が異なるのではないかと思わせる.また, 洗濯物を乾かすとき布に存在する水は, とくに日なた干しの場合, 光子を吸収してブリーラジカル生成を抑制し, 保管中の布の黄変度の大きさを幾分小さくする.
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