第1報においては, モノアゾ, ビスアゾ, アントラキノン, フタロシアニン系の染料母体と, 1~3個のCl又はFの置換基を伴うトリアジニル基又はピリミジニル基の官能基 (それぞれMCT, MFT, TCP) を有する反応染料を用い, それらに対する紫外線照射の影響を伴った種々の条件下で, 加工を施した防炎加工 (ピロバテックス加工) の影響に関する研究の結果について報告した.
そこで今回我々は前研究で用いたものと同じ染料母体を持ち, 官能基としてMCT, MFT, TCP以外に新たにビニルスルフォニル基 (VS) をもつ反応染料を加え, これらとの比較においてバット染料を用いて研究を拡げた.防炎加工に関しては, ピロバテックス加工との比較においてプロバン加工も適用した.
結果を要約すると次のようになる.
反応染料の場合, 好ましい結果を示した染料母体と官能基についてみると染料母体ではアントラキノン系でビスアゾ系がそれに次ぎ, 官能基としてはVSであった.官能基間ではアントラキノン系染料母体との組合せにおいてVSが最高の堅ろう度を示し, 特にピロバテックス加工に対して良く, 防炎加工と紫外線照射に対する両耐性について最も良好な結果を示した.しかしこの種のタイプを除いては反応染料はプロパン加工と共に適用することは実用的見地から推薦できない.
一方バット染料の場合は, 両防炎加工は紫外線照射による変退色に対して抑制効果を示すという注目すべき事実が見出された.そのためバット染料は適当に選択すれば防炎加工布に対して適用できる.しかしプロパン加工の影響をピロバテックス加工の影響と比較すると, やはり前者は紫外線照射の有無にかかわらず反応染料およびバット染料両者に対して後者よりかなり大きい変退色を与えた.
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