合繊織編物の風合いを変化させるための硬仕上剤として, アクリル系エマルション樹脂が一般的に使用されている.この樹脂の種類と加工濃度を変化させ, ポリエステル加工糸織物に仕上加工し, 19種類の風合いの異なる試験布を作成した.これらの布について, 布の力学特性及び風合いの変化を, KES-FBシステムを用いた客観評価法で測定した.布の皮膚刺激性 (物理的刺激) については河合法を用いて判定した.そして, 布の物性, すなわち, 力学特性や風合いと物理的刺激との関係について検討した.今回の硬仕上加工した試料の範囲では, 力学特性のうち曲げ特性, せん断特性, 引張り特性, ついで, 表面特性が, 風合いでは「こし」, 「はり」, 「しなやかさ」が, 布の物理的刺激と密接に関係していることが分かった.また, 総合風合いの良い布は物理的刺激が弱いことが明らかになった.これらの結果から物理的刺激の弱い布を設計するためには, 力学特性や風合いの測定が非常に有効であることが示唆された.
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