羊毛敷布団わたの寝心地に関わる圧縮特性に着目し, モデル布団の繰り返し着用による厚さ変化を捉えた.市販敷布団の標準寸法の0.15倍寸法のモデル布団を同一中綿重量で作製し, 51日間繰り返し着用した.羊毛布団の厚さは51日間着用により約半分に減少した.比較試料としたポリエステル (PET) 布団の厚さ変化は羊毛布団のうち厚さの減少しにくいものと同程度, 木綿布団の厚さ変化は羊毛布団のうち厚さの減少しやすいものと同程度であった.繊維直径が大きくクリンプ率が大きい羊毛繊維を用いた布団は着用による厚さの減少が少ない傾向が捉えられた.また, 羊毛や木綿にPETを混合することで形態保持性が向上する傾向が捉えられた.布団の初期厚さに対する圧縮後の厚さの変化比と圧縮日数の対数値の間には直線関係が認められ, 51日着用以降の厚さ変化を予測する実験式を導いた.圧縮回復には環境の温湿度条件が影響し, 布団の形態保持性の評価には湿潤状態での物性試験の必要性が示唆された.
抄録全体を表示