寝心地のよい敷布団の充填材料の明確化とその設計に資するための基礎的研究を目標として, 敷布団わたの圧縮特性に着目し, モデル布団の繰り返し圧縮による厚さ変化を評価した.モデル布団の51日間着用による厚さ変化に基づいて, 繰り返し圧縮試験法を設定し, 含水ろ紙を挟んだ湿潤法は厚さが減少し易い試料を選定するのに有効であることが認められた.比較試料としたポリエステルおよびこれを含む布団は, 湿潤法によって厚さが減少し難いと評価された.木綿布団は羊毛布団と同程度の厚さ減少であったが, 20℃65%RHの回復環境では回復性がよいことが示された.羊毛布団については, せん断弾性率が大きい繊維を用いた布団, 直径が大きくクリンプ率が大きい繊維を用いた布団は, 繰り返し圧縮による厚さの減少が少ない傾向にあり, 羊毛わたの圧縮かたさを表すパラメータPrの値が大きいほど圧縮後の布団の厚さ減少が少ない傾向が捉えられた.繰り返し圧縮による羊毛布団の厚さ変化を, 羊毛わたの圧縮特性, 羊毛繊維のせん断弾性率, 繊維の直径やクリンプ率から予測する式を導いた.
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