個性化に対応した衣服設計のための体形情報を得るため, 成人女子 (平均年齢19.3歳) 50名の右前胴部体表面展開図を基準線で10のブロックに分割して, 肩部・上胸部のブロックの辺の展開図寸法に人体寸法以外に含まれる間隙寸法を検討した.その結果, 50名全員の前肩幅線 (FSWL) と胸幅線 (CWL) に間隙が入ったが, とくに前側部のFSWL2とCWL2の間隙寸法が大きく, 下方の前乳頭位胸囲線のFBL2間隙につながるケースもあった.また, 前正中線にはFCL2間隙が9名に入り, 前腕付根線にはFASL4間隙が30名に入って個体差があった.これらの間隙は, 個々の凹凸のある体表曲面形状の特徴を平面上で把握したものなので, その間隙寸法は同じ体表曲面を平面で構成する衣服設計のための重要な情報と考えられる.そこで, 展開図を作成しないでこれらの間隙寸法を人体寸法から予測して, 個々の衣服の選択や設計のための体形情報として提供できるようにした.前肩幅線のFSWL1間隙寸法は, 前乳頭位胸囲線FBL1の人体寸法から前肩幅線FSWL1の人体寸法をひいて予測した.前肩幅線のFSWL2間隙寸法, およびその下方に連なる胸幅線のCWL2間隙寸法, 前乳頭位胸囲線のFBL2間隙寸法, 前正中線のFCL2間隙寸法には相互関係が認められたので, それぞれの間隙を予測する4つの重回帰式を連立方程式として解いて, 同時に予測できるように工夫した.前腕付根線のFASL4間隙寸法は, 乳頭線BPL3と前腕付根線FASL4の人体寸法から精度よく予測できる重回帰式を導いた.
抄録全体を表示