高齢者の着装行動における心理・社会的な機能を, 「着装基準重視」, 「自律への意欲」, 「自己意識」, そして, 「主観的な精神的・身体的健康状態」の4つの構成概念間の連関性から検討するために, 1997年8月, 健常型老人ホームの入居者を対象として, 質問紙調査を行い, 65歳から91歳までの110人からの回答を得た.その結果, つぎの4点が明らかとなった.
1.高齢者の着装基準は, 「個人的服装嗜好」, 「流行」, 「機能性」, 「社会的服装規範」の4因子構造であった.
2.普段着の着装時においては, 4つの構成概念間の全てに連関性が認められたが, 外出着においては認められなかった.
3.着装基準について, 自己意識が高い人ほど, 普段着においては「流行」が重視され, 他方, 外出着においては「社会的服装規範」が重視されていた.
4.2.と3.から, 高齢者の「普段着」に関する被服行動について, さらなる研究の必要性が示唆された.
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