洗剤論争に関与した一般消費者向けの洗剤関連書籍の内容分析を行うため独自の合成洗剤有害性記述得点を求め, 洗剤問題に関する消費者情報の現状を分析した.まず, 53種の関連資料より, 肝臓障害, 発ガン・発ガン補助性, 催奇形性, 急性毒性, 慢性毒性, 皮膚障害, 生分解性, 水生生物への影響の関連記述を抽出した.集団A (422名) に対する75件の質問 (5段階評価) により評価基準を作成し, 次に集団Aの結果に高い相関性を持つ10名からなる集団Bを対象に310件の合成洗剤有害性記述得点を求めた.規模の大きな11書店での書籍所在調査結果をもとに消費者情報の分析を計算した結果, 一般消費者が入手し得る洗剤関連資料の80%以上が合成洗剤の有害性を示しており, 消費者に対して必要以上に不安感を与える不適当な表現も存在することがわかった.
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