本研究の目的は, 中高年女子の体格, 体型について調査し, 年代 (50代~70代) の違いにともなう体格の差違を検討し, 各年代ごとの衣服設計に必要な情報を抽出することである.
このために, 本研究では, 中高年女子の衣料サイズを明確にするための基礎的な体格データを整備した.調査対象は, 首都圏に在住の50才~79才の健康な中高年女子305名である.人体計測は, マルチン計測により, 体格調査を行った.また, 年代間の比較として, Mollison偏差値及び判別分析を適用し, 次の3点を結果として得た.
1) 50代, 60代, 70代の詳細な体格表が作成できた.
2) 50代を基準としたMollisonの偏差値を算出し, 50代, 60代, 70代の体格比較を行ったところ, 50代~60代は周囲長の拡大変化, 60代~70代は老人体型への骨格変化が起こり, いわゆるずん胴もしくはビヤ樽体型で背中が丸く, 腕部, 脚部は細く, 脂肪がとれた体格変化が認められた.
3) 50代と70代の体格特徴の違いを抽出するために, 2群の判別分析を実施した.
F
IN≧5.0, F
OUT<5.0の判定基準で手動変数選択を行った結果, 右乳頭高, 右上前腸骨棘高, 右背部皮下脂肪厚, 胴囲, 上部胸囲, 右大腿最大囲, 前丈, 股上前後長の8部位が体格特徴差を検出できる計測部位として選択された.204人に適用した時の誤判別率は, 8.82%, 18人であり, 中高年女子の体格変化を捉えるために重要な部位であることが判明した.
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