体型的に適合した成人男子の上半身用衣服を設計するための基礎的な条件を明らかにするために, 背広服を対象として, 背広服に対する着用者自身の意識調査と, 背広服 (上着) の適合の状態に関する実態調査とを行った.調査は1994年12月~1995年6月, 20代~50代を対象に行った.調査数は607名である.その結果, 次のようなことが明らかになった.
1.成人男子の90%以上が背広服をビジネスウェアとして必要であると回答した.既製背広服利用者は81%を占めた.しかし, 体型的に適合した既製背広服がみつからないと30.7%の人が回答した.
2.既製背広服購入時, 動き易さや肩部のフィット感について50%以上の人がチェックすると回答した.しかし, 衿元の安定性, 側面や後面の状態等部分的な適合に対するチェック率は20%以下であった.3.既製背広服の静立時の不適合部位として, 裾線の状態, ツキ皺の発生, 殿部の状態, 前カットの状態, 腹部の状態, 及び袖丈の長さ等が40~65%観察された.ツキ皺と袖丈を除くこれらの部位の不適合は相互に関連性が認められ, 人体の側面形状による体型特徴と関係することが明らかになった.
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