体型的に適合した衣服を設計するために, 背広用胴部原型を作成し, 体型特性と原型との関係及び計測項目と原型との関係について検討した.その結果, 側面形状に表出する体型差が背広用胴部原型に表出することが明らかになった.標準タイプの原型は前中心線の傾斜が小さく, 胸ダーツが必要となった.肥満タイプでは, 標準タイプに対し前中心線の傾斜が大きく, 前下がりを表す脇線からのダーツが入った.突背タイプでは, 肩ダーツ分量が多く, 後丈が前丈より長く, 後幅が前幅より広い特徴を示した.一方, 反身タイプの原型は後丈より前丈が長い特徴を示した.また, 成人男子の上半身の形態的適合を高めるための計測項目として, 丈項目, 幅項目及び周径項目は前後に分けて計測することが望ましい.特に, 背や腹部の状態を表すために最前突部や最後突部を無理なく包む前身幅・後身幅を計測し, パターンに導入することが必要である.後面の丈項目の計測は, 後下がりを防ぐために最後突高より下方は投影長による計測値が有効である.
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