本研究は, PSの温熱的特性に及ぼす吸湿性の影響を明確にすることを目的とし, 吸湿性繊維キュプラを混用したPSの熱・水分移動特性を, 従来のナイロンPSと比較検討した.
結果は, 以下のように要約される.
1) 乾熱損失量Hdは, 厚さT, 重さWとは負の相関が高く, 編目密度Sdとは正の相関が高かった.
2) 不感蒸泄時を想定した場合のキュプラ混PSの水分蒸発量Wnは, ほぼ同一厚さのナイロンPSに比べて約30%大きかった.
3) 発汗時を想定した場合のキュプラ混PSの潜熱移動量Hwsは, ナイロンPSに比べて大きく, 乾燥時間tは短かった.
4) 重回帰分析を用いて, 各パラメータの予測式を導出した.その結果, Hdは重さWと編目密度Sdの2変数で, Wnは水分率R, W, Sd, 厚さTの4変数で, Hwsは吸水面積Ab, R, Sdの3変数で精度よく予測できることがわかった.
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