本研究の目的は, Fishbeinの多属性モデルを改善する方法を発見することによって, 子ども服ブランドの購買行動を解明することにある.
結論1 Fishbeinの理論の適用
(1) 筆者は, 属性iの一般的評価値a
iが期待値b
ij, に独立ではないことを見出した.なお, 本研究では期待値b
ijの単純和を各ブランドブに対する態度A
jとしている.
(2) 筆者は, 期待値はブランド間に有意な差を示し, ブランドそれぞれに購買者の異なる思い入れが存在することを明らかにした.
(3) 縦軸をブランド購入数, 横軸を期待値の単純和とする平面にブランドをプロットしたところ, その多くは同一の傾向を示した.また, 若干のブランドがその傾向から乖離している理由を説明した.
(4) 筆者は, ブランド購入者数を目的変数, 期待値を説明変数として, 重回帰分析を行なった.推定の精度は0.79で, 次の重回帰モデルを得た.
y1=-157.37+13.56
x11+15.28
x21+12.51
x31+12.67
x41y1: ブランド1の購入者数,
x11: 定数「価格が安いこと」,
x21: 定数「色・デザインが良いこと」,
x31: 定数「洗濯がしやすくしわになりにくいこと」,
x41, : 定数「割引率が多いこと」.
結論2子ども服ブランドの考察
(1) 同一ブランドのタンクトップ, Tシャツ及びトレーナーの間には, 期待値について有意な差はなかった.
(2) b
ijの相違はブランド購入者の特性につながった.価格の安さは, 子どもの多くが男子であること, また, その平均年齢が低いことに関係していた.良い色・デザインは, 有意水準5%で子どもの多くが女子であること, また, その平均年齢が高いことに関係していた.
(3) 筆者は, 理論値と実測値の差を解明するために, ブランドのクラスター分析を行なった.得られたブランドの4グループは, 商品属性によって特徴づけられた.筆者は, 第1グループをナチュラル子ども群, 第2グループを定番指示群, 第3グループを子ども服ブランド群, 第4グループをファッション・ブランド群と名付けた.
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