布上の染料が紫外線遮蔽性能に及ぼす影響について染料構造, 染料諸性能の関係から検討した.本報では構造の異なる9種類の青系, 黄系直接染料を用いて実験し, 前報で行った赤系染料5種類を合わせ, 計14種類の直接染料について染料の可視部吸収特性 (発色性と視感反射率) が紫外線遮蔽性能に及ぼす影響について考察した.
結果は次の通りである.
1) 青系直接染料は, UVB領域でモル吸光係数が高く, 黄系染料はUVA領域でモル吸光係数が高い.中でもBlue71, Yellow50が高い.
2) 黄色の染色布は染料の染着量が増加しても, 視感反射率はあまり低下しないが, 可視短波長域に連続するUVA長波長域での高い吸収特性に起因して, 淡色であっても高い紫外線遮蔽効果が認められる.
3) 赤や青の染色布は濃色において紫外線遮蔽効果が向上し, 同じ視感反射率の染色布を比較すると, 赤が青より優れていると言える.
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