布等と人の皮膚との摩擦特性を明らかにするために, KES-SE摩擦感テスターを改良したものを用い, 人の皮膚の平均摩擦係数MIU, 摩擦係数の変動MMDを測定した.皮膚性状は角層水分量, 皮脂量, 皮膚水分蒸散量を, 別に, 身長, 体重, 体脂肪率も測定した.そして, これらの項目の摩擦特性に及ぼす影響を検討した.
そして, 次の結果を得た.
1) 人の皮膚の平均摩擦係数MIUは皮膚性状のうち, 角層水分量と有意な相関があり, 角層水分量が増加すると, MIUは指数関数的に急激に増加した.
2) 人の皮膚の平均摩擦係数MIUは一定ではなく個人差が大きい.この理由は角層水分量に個人差があることによることが明らかになった.また, 角層水分量は同一個人でも季節間変動が生じることが明らかになった.したがって, MIUは, 同一個人でも, 同一試料を季節を変えて測定すると変動することが考えられる.
3) 人の皮膚を布や, KES-SE摩擦子で摩擦したとき, 摩擦係数の変動MMDに及ぼす主な要因は, 人の皮膚のスティック, スリップであることが明らかになった.また, 角層水分量が高くなると, 皮膚は柔軟化するため, スティック, スリップが発生しやすくなることが考えられる.
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