染色堅牢度は, 繊維製品にとって非常に重要な性能である.その染色堅牢度は, 汚染用グレースケールと変退色用グレースケールを対照基準として視感で評価することが規定されている.視感評価は, 個人によってもばらつきは見られるが, 国によっても違いがあると言われている.インターネットショップが地球規模で盛んになっていく今日, それぞれの国の視感評価の傾向を見出し, 各国との違いを認識しておく必要がある.
そこで, 系統的に作成した染色布試料を用いて日本とタイとで視感評価実験を行った.その結果, 2つの国の視感評価の共通性, 相違性を見出すことができた.汚染評価においては, 大きな違いはなかったが, 変退色評価においては, 日本の視感評価は, ほとんどの試料においてタイの視感評価より厳しかった.
これらの結果は, 国によって評価基準の異なる視感評価に代わって客観的に評価できる計測値を導く際の貴重なデータとなる.
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