本研究は, 以下の2つを目的とし, 女子大学生およびその母, 216名 (女子大学生109名, 母107名) を対象に質問紙調査を行なった.1) 「おしゃれ行動の二面性」 (橋本・柏尾, 2003) の構成概念妥当性を検討するために, 内面的・外面的おしゃれと被服・化粧行動との関連性を検討する.2) 内面的・外面的おしゃれと心理的健康の関係, および, 年齢を重ねてからのおしゃれについての価値観と心理的健康の関係についても検討する.さらに, 1) 2) について世代間比較を行なった.分析の結果, おしゃれの二面性概念の妥当性が確認された.世代間の比較では, 外面的おしゃれは娘世代, 内面的おしゃれは母世代が一層行なっていた.また, 娘世代では, 外面的おしゃれと「対自己の健康」とに正の相関関係, 内面的おしゃれと「対他者の不健康」とに負の相関関係が認められた.母世代では, 内面的おしゃれのみ, 「対自己の不健康」, 「対他者の不健康」と有意な負の相関関係が認められた.年齢を重ねてからのおしゃれに対する価値づけについては, 娘世代では外面的におしゃれなほど, 母世代では内面的におしゃれなほど, 高かった.
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