本研究は, 既報において提案した引張荷重下における組紐の力学的特性評価方法を用いて, ポリエステル製組紐の力学的特性を評価したものである.供試材には, 市販の組靴紐である丸唐組 (2/2braid, 16繊維束) の組紐を用いた.靴紐の力学的特性に及ぼす試験長の依存性について検討した結果, 定義した力学的特性値はチャック間距離100mm以上でほぼ一定になり, この評価方法においては100mm以上のサンプル長が必要であることが分かった.市販の様々な種類の靴紐を用いて引張試験を行い, 断面形状の違い, および中心糸の有無が力学的特性に及ぼす影響について検討した.その結果, 円形断面は楕円や長方形断面よりも, その形状が引張りによって変化しやすいことが明らかになった.また, 組紐に中心糸を挿入することによって引張剛性を増加させることなく変形性を増すことができる可能性が示唆された.さらに, 異なるレベルの引張荷重下における組紐の断面形状の観察を行なった結果, 見かけのボアッソン比が3を超えるという特異な挙動が確認できた.
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