本研究は, 布帛の糊付け加工の効果およびその後の着用などによる糊付け効果の変化について, ダイナミックモジュラステスターにより評価が可能かどうかを検討したものである.
ソニック法により測定された音速とKES計測システムにより測定された曲げ剛性Bは, いずれも糊付け濃度の増加に伴い大きくなり, ランダムタンブル処理による撹拌作用によって減少する傾向が認められた.音速と曲げ剛性の関係を検討した結果, 糊付けしていないオリジナル試料の音速および曲げ剛性の測定結果を用いて基準化することにより, 布地や布の方向が異なってもある程度きれいに整理できることがわかった.
基準化されたグラフの1以上の領域においては, 基準化された音速と曲げ剛性の関係から未知の糊付け布の曲げ剛性が比較的良好に推定でき, ソニック法は糊付け布の剛さ評価に利用可能である.
また, 1以下の領域は, 撹拌作用による糊付け効果の低下が起こる領域であるが, この範囲内にある試料の音速の低下はしわの影響を含んで評価されており, 糊付けしていないオリジナル布を対象とした場合, ダイナミックモジュラステスターはしわ評価試験機としても利用できる可能性を示唆した.
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