肌着の触感に及ぼす環境温度条件の影響を明らかにする目的で, 肌着素材10種 (夏用5種, 冬用5種) を対象に, 22℃, 28℃, 34℃の環境温度条件下における着用感の評価を行った.主たる結果は次の通りである.1) 着用感による官能評価は, 夏用試料と冬用試料で異なり, 夏用試料は, さらっと感, 軽量感があり, ゆるやかなものが多いのに対して, 冬用試料は, 肌触りが良く, しなやかさに配慮した素材が多いことが示された.2) 7項目の着用感評価に及ぼす環境温度の影響について試料別, 評価項目別に検討した結果, 夏用, 冬用ともに, 冷温感をはじめとするすべての評価項目において有意な差が認められた.嗜好性についても, 夏用試料は34℃の環境下で, 冬用試料は22℃の環境下でより快適又は好きの方向にシフトする傾向にあり, 環境温度依存性が認められた.これらの結果は, 各種環境下における体温調節反応, 特に体幹部の水分蒸散量の影響によるものと考察された.3) 因子分析の結果, 第1因子としてしなやかさ, 滑りの良さ, 快適感を表す因子が, 第2以下の因子として涼暑感, 冷温感, 軽量感, さらっと感の因子が抽出され, 第1・第2因子の得点分布のばらつき, 平均値の差からも, 着用感における環境温度の影響が確認された.
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