非ホルムアルデヒド系架橋剤であるクエン酸を用いたDP加工綿布について, 消費科学的性能のひとつとして, 汚れの除去性を調べた.代表的な固体粒子汚れとして酸化鉄で汚染した未加工布・加工布を種々の洗浄液で洗浄し, 洗浄前後の反射率測定から洗浄効率を求めた.その結果, 界面活性剤単独系では, 加工布は未加工布に比べて汚れ除去が困難であったが, 界面活性剤に洗浄補助剤を加えた弱アルカリ条件下や硬度成分共存下では, 加工布は未加工布よりも良好な洗浄性を示した.洗濯を繰り返した加工布について, FTIR/ATRスペクトルにより布上の官能基量の変化を調べた結果から, 加工布にはセルロースとのエステル結合に与らないカルボキシル基またはカルボン酸塩が存在すること, 洗浴中におけるこれらの解離が加工布の洗浄性向上に寄与した可能性のあることが示唆された.
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