ミシン糸の性能がシームパッカリングに及ぼす影響を研究した.まずパッカリングのグレード付けに用いる1~5級の標準写真を作り, 縫い縮み率との相関を求め, 両者に直線関係のあることを認めた.次に縫製直後のシームパッカリングとミシン糸の性質の関係については, 切断伸度や瞬間弾性回復率の大きいほどシームパッカリングも大きくなる傾向があるが, これだけではパッカリンググレードを変えるほど大きな影響を与えることはない.また洗たく後のシームパッカリングについては直線縫いで4級以上のグレードにするためにはミシン糸の洗たく収縮率は1%以下, また折り伏せ縫いで3級以上にするには, 0%とすることが必要である.アイロンがけによるミシン糸の収縮はほとんど見られずアイロンによるシームパッカリングの発生の恐れはない.
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