本研究は,ローライズウエストベルト位置と,下半身体型特徴との関係を明らかにすることを目的とした.実験は,文化女子大学学生50人を対象に,着用者の付け心地の良いローライズウエスト位置にベルトを付けた静立状態で,メジャー及びシルエッター写真計測を行った.
得られた結果:
1)ローライズウエストベルトは,後ろ中心位が腸骨稜点位とほぼ同じ高さで,前下がり状態で着装されていることが確認された.
2)主成分分析により人体計測項目を要約した結果,ローライズウエストベルト位置に注目して解釈すると,第1主成分はベルトの高度成分,第2主成分はベルトの周径成分,第3主成分はベルトの前下がり成分と解釈され,各主成分に高く負荷した人体計測項目がローライズウエストベルト位置と関係が深いと考えられた.
3)ローライズウエストベルトの着装状態を予測するために,ベルト前後中心高の差を目的変数として重回帰分析を行い,臀部突出距離[Pd1]など体型の3項目が説明変数として抽出され,有効な予測式を得ることができた.
夏期の睡眠温熱環境が子供の睡眠に及ぼす影響を検討することを目的とした.被験者は,健康な小学校低学年と高学年それぞれ12名であった.夏期と秋期に被験者の自宅でアクチグラフによる活動量,寝室内温湿度を7日間連続測定し,期間中の二晩に夜間就寝中の寝床内気候を測定し,就寝前,起床時の主観的睡眠感,温冷感,快適感を申告してもらった.寝室内温湿度は夏で秋よりも有意に温度と湿度が高かったが,学年差はなかった.睡眠では,夏期と秋期に差はなかったが,低学年では高学年よりも就寝時刻が早く,睡眠時間,睡眠時の活動量,覚醒時間,覚醒回数が有意に増加した.寝床内温度は睡眠後半で秋期は低学年が高学年よりも高く,夏期は低学年が高学年よりも低かった.就寝時の温冷感は低学年で高学年よりも有意に暖かい申告であった.低学年と高学年では寝室内温湿度に差はなくとも,睡眠や寝床内温度が異なり,高学年よりも低学年で寝室環境をより暖かく感じている可能性が示唆された.