本報では,既報で設計した二次元のピアループモデルを用いた形状予測計算法において,布にかかる様々な力の視覚化を試みた.まず,各節点における曲げ力,伸び力,斜面壁からの垂直抗力,摩擦力を合計して視覚化を試み,計算の収束過程を詳細に観察できること,形状予測計算を終了させる判断基準として利用できることがわかった.また,布全体にかかる重力,チャッキング部分の把持力,斜面壁からの垂直抗力,斜面壁・右上方向へ働く摩擦力,斜面壁・左下方向に働く摩擦力の,それぞれの全節点の合力の視覚化を試み,布をその状態にとどめている力の割合を知ることができるようになった.さらに,各節点のモーメントを合計して記録することを試み,形状予測計算の終了判定が,より簡便に行えることがわかった.
本研究の目的は,衣料品の廃棄とリサイクルの意識について,環境への関心度と関連づけて検討することである.環境への関心,不用衣料品の廃棄とリサイクルに関する質問のアンケート調査について,女子大学生153名,その母親123名から回答を得た.調査データは,統計的検定および因子分析により解析した.環境に配慮した商品への関心の質問により,被験者を環境意識の高い群と低い群に分類した.環境意識の高い群は低い群に比較して,女子学生,母親ともに,不用衣料品を有効に利用する傾向がみられた.廃棄とリサイクルの意識を因子分析した結果,女子学生,母親ともに,5つの基本的因子が抽出された.「リサイクル意識向上の手段」の因子について,環境への意識の高い群の因子得点と低い群の因子得点間に統計的有意差が認められた.死蔵衣料品のリサイクルを向上させるためには,環境への関心を高めることが重要である.