超音波と紫外線(UV)照射の簡易な方法を用いて直接酸化チタンを綿布へ担持する方法を検討し,アナターゼ型と複合型の酸化チタンの担持方法と綿の消費性能や表面改質による風合いを評価した.超音波と同時にUVを照射した場合,超音波処理のみの照射と比較し綿布帛への酸化チタンの最大担持量が増加した.また,酸化チタン担持布を洗浄し酸化チタンの保持性能を調べると,アナターゼ型・複合型の酸化チタン担持布ともに安定に付着していた.さらに力学特性値の変化から,未処理布はUVの影響で表面が粗くなり,しゃり感が大きくふくらみのない布へ性能劣化する傾向がみられるのに対し,担持布はUVによる風合い劣化が少なかった.特に複合型担持布ではUV照射前後の差がほぼなかった.また,調製した酸化チタン担持布を用いてオレンジⅡ色素をモデルとして汚れ分解を試みた結果,UVの照射開始から24時間後にオレンジⅡの分解率は100%となった.
近年市場に出回る靴下には,快適な履き心地に加え,補正効果のような機能性も加味されるようになった.しかし市販品の中には補正効果を重視するがゆえに,健康面に配慮を欠く製品も少なくない.そこで本研究では,身体に負担が少なく補正効果があり,かつ保温効果のある着圧ソックスの製品開発のための設計指針を提案することを目的とした.被験者は健康な20代前半の成人女性8名であった.足囲と下腿最小囲を同時あるいは単独で圧迫した時に,椅座位で4時間過ごした前後の足部容積と足背の皮膚温を測定した(高温期後半を使用).足部の圧迫は4条件〔条件①:下腿最小囲を“ちょうど良い''(被服圧のmean±SDは12.4±4hPa),条件②:下腿最小囲を“きつい''(28.4±5.2hPa), 条件③:足囲を“きつい''(34.7±6.7hPa),条件④:下腿最小囲と足囲を同時に“きつい''(29.6±3.8hPa)〕であった.外踝下端より先端の足部容積は,コントロールに比べ,①と④の2条件において有意に減少した.外踝下端から足首にかけての足部容積は,条件④において有意に減少した.一方足趾背側の皮膚温は,条件①,②,④において,圧迫前に比べ圧迫後に有意に減少した.このように,足首を足囲と同時にきつく圧迫すると足首部の容積は有意に減少するが,逆に足首より先端の足部の容積が有意に増加し,かつ,足趾の皮膚温は有意に低下した.これらのことから,足首をきついと感じるまで圧迫すべきではないことがわかった.つまり,足趾を温かくかつ,靴内に収まる足部の容積の増加量を少なくするためには,“足囲はきつめ''に,“足首部はちょうど良い''程度の圧迫に留めるべきことがわかった.その時の被服圧の試算から,足首部は15.2hPaまで,土踏まず部で34.7±7.1hPaまでとなった.