本研究では,分析対象を繊維関連取引における染色加工整理業界の取引関係ネットワークとし,1998染色仕上年鑑(繊維社)に記載された染色加工整理関連会社の主要取引先3354社のデータからなる複雑ネットワークを作成した.グラフ理論の代表的な指標を用いてネットワーク分析を行い,繊維関連企業の取引関係ネットワークの構造やその中心的企業を把握することを目的とした.分析結果より,取引ネットワークはスケールフリー性を有し,スケールフリー・ネットワークにおけるハブ企業の存在が明らかになった.また,媒介中心性による中心的企業を明らかにした.さらに,被依存度の指標を考案し,取引の独自性の高い企業を抽出した.