WMS試験法は洗濯作用力を評価する新しい評価法である.この試験法に用いるWMS試験布の基礎的性能を評価するため,かくはん型の洗浄試験機であるターゴトメータ(Terg-O-Tometer)を使用して洗浄実験を行った.試験は,WMS試験布を負荷布に縫合することなくそのまま用い,反転数,洗浄時間,洗剤の有無および種類,温度などについて各種条件のもとで行った.
その結果,WMS試験布は,①従来のMA試験布に比し弱い洗濯作用力にも対応していること,②洗剤の種類やその有無に関しては60min程度の長時間洗浄でわずかに差が認められたものの,30minまではその影響が小さいがこと,③80℃程度の高温では過大評価される傾向があるが,中低温域ではその影響がほとんど無いことなどが明らかになった.
したがって,WMS試験布は中低温の一般的な洗浄条件のもとで,比較的小さな洗濯作用力も含めた測定に有用であると結論付けることができる.
若者の衣服嗜好色の特徴を明らかにするために,大学生275名(女子164名,男子111名)を対象として調査を行った.試料として,調査用カラーコード(日本色彩研究所)大分類に該当する25色を使用し,それらの各色を,基本嗜好色(いつでも着たいと思う色),潜在嗜好色(たまに着たくなる色),嫌悪色(絶対に着たくない色)の3カテゴリに分類させた.今回(2008-2009年)の調査結果から,衣服嗜好色における性差について検討するとともに,以前(2005-2006年)に女子学生のみを対象として実施された同様の調査の結果と比較することにより,衣服嗜好色における経年変化についても検討した.男子に比べ,女子は衣服嗜好色の数が多く,基本嗜好色ではベージュ,ブラウンおよびグレイ系の色において,潜在嗜好色ではピンク,イエロー,ラベンダーなどの色において,女子の嗜好率が有意に高いことが分かった.また,クラスタ分類の結果,女子にはピンク系嗜好の強い群が,男子にはブル一系嗜好の強い群が見出された.経年変化については,上記3年間で,潜在嗜好色の数が減少し,特に中間色相の多くの色で選択率が有意に減少していること,無彩色および基本色相の色は経年変化が小さく,嗜好率が安定していることなどが明らかとなった.