本研究は,家庭における体系的な消費者市民教育のあり方を検討するための基礎資料を得ることを目的として,先行研究の調査・分析を行い,幼児期の子どもとその親を対象とした消費生活研究の動向把握,及び,衣生活行動と消費者市民教育との関連を検討した.
その結果,1980年代以降,幼児期の子どもとその親の消費生活に関する研究は継続して取り組まれ,近年は具体的な教材開発も行われていることがわかった.また,1990年代には幼児期の子どもとその親の衣服消費に関する研究が進められていたことが明らかになった.また,衣生活行動と消費者市民教育との関連では,親から子に伝えられる衣生活行動は,意思決定,資源管理,市民参加という消費者教育の基本概念に基づく消費者市民教育のトレーニングの場となり得ることを示した.
ウール素材の「ちくちく感」の定量的評価方法について,医療機器として使用されている痛みを定量的に数値化できる知覚・痛覚定量分析装置《PAIN VISION》(ニプロ社製)を利用して検討した.布と皮膚との接触方法の検討,及び,装置での電流の刺激と布の摩擦刺激を同時に比較しながら評価した結果,個人差が小さく且つ官能評価との相関がみられ,再現性のある評価方法の可能性が示唆された.市販の繊度及び組織の異なるウール3 点と綿100%の肌着を用い,模擬着用試験による「ちくちく感」の官能評価と《PAIN VISION》を用いた新しい方法で計測した電流値の間に相関がみられ,「ちくちく感」を数値化できる可能性が示唆された.