成人女性の60着の3次元着装シミュレーションを用いて,そのデザインイメージを形成する要素(El: Bn. スタイル,Cn. 自己の嗜好,Fn. 他者への印象,Gn. 着用範囲など合計55項目)に関して,性と年齢による共通性と相違性の特徴を検討し,今後のITを利用した環境効率を目指した衣服の仮想的選択時での消費者のデザイン知識も含むファッション意識を第1報の結果をもとに明らかにした。
評価者グループは,成人女性A(127名,平均45.88歳),若年女性Y(135名,平均20.67歳),成人男性M(57名,平均38.95歳)である。主成分分析により抽出したPC1(A1&A5.レディ・フェミニン系&エレガント系-A3.カジュアル系)とPC2(A4.スタンダード&レトロ系-A2.シャ-プ&モダン系)のEl との関係から,成人女性の着用対象衣服に対する自己的評価による相違性がA2 のEl に表出すること,非着用対象衣服に対する他者的評価の困難さによるイメージ評価要素の多様性により,若年女性と成人男性ではA1&A5 と A2 の組み合わせイメージが生成し,成人男性ではA3 のEl に女性とは異なる相違性が認められた。
中国における消費者情報の動向を探るため,中国の美容・化粧品関連書籍の有害性記述表現について分析した.書籍中の有害性に関する記述表現を抽出し,有害性得点を指標として,書籍中の有害性表現を評価した.その際に得点の個人差を抑えるために「基準スケール」の作成を試み,これをもとに書籍の評価を行った.今回,5段階の整数で得点化する場合(整数評価)と小数点第一位まで得点化する場合(小数点評価),の2種の方法で評価を行った.
調査の結果,整数評価と小数点評価では,同様の得点傾向を示したが,小数点評価のほうが正確な値が得られた.よって,小数点評価を書籍の有害性得点の結果として用いることにした.また抽出した全文章のうち8割以上の記述が有害性を強調する表現であった.界面活性剤について,書籍中では「皮膚の内部に浸透し,人体に危害を加える」といった表現や「ガンを引き起こす可能性がある」といった表現など,科学的な根拠の薄い情報によって有害性が強調されているものが見られた.
以上から,中国における美容・化粧品関連書籍中の記述には科学的な根拠なく有害性を強調する表現が多く含まれていることが明らかとなった.