繊維製品消費科学
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55 巻, 12 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
時辞刻告
報文
  • 劉 兵, 神山 進
    2014 年 55 巻 12 号 p. 888-897
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,顧客感動の内容とその構造,そして顧客感動と顧客満足の関係を明らかにするために,装い関連サービスを焦点にして,顧客の口コミデータの内容分析,および調査的面接から得られた面接データに対する質的分析を行った.その結果,顧客感動は「ポジティブ感情」と「意外性の認知」によって定義されることが示唆された.「ポジティブ感情」は安心,楽しさ,嬉しさなどのような肯定的感情であり,「意外性の認知」は予想外,驚き,幸運などのような体験によって引き起こされる意外性の理解や判断である.またこれらの2軸とそれぞれの強弱や大小によって顧客感動に相違がもたらされ,結果として,異なるタイプの顧客感動が分類できた.そして本研究の結果からは,顧客感動と顧客満足は別領域の心理的事象として描くことが提案され,その相違は「意外性の認知」の有無であることが示唆された.

  • 庄山 茂子, 青木 久恵, 窪田 惠子, 下北 裕樹, 栃原 裕
    2014 年 55 巻 12 号 p. 898-905
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    歯科診療所のスタッフに医療用ユニフォームとして異なる8色のスクラブと白のパンツを着用してもらい,外来患者394名を対象に印象を調査した.

    (1)8色のサンプルの中で,「好ましい,やや好ましい」の割合が最も高いのは,明るい赤紫(lt-RP)で,次に好まれたのは白(Wt)であった.好ましさに,性別,世代間の差異はみられなかった.

    (2)各サンプルにおいて,患者の病気に対する不安と看護服の好ましさに関連はみられなかった.

    (3)因子分析の結果,「親しみやすさ・癒し」,「信頼・責任」,「活動性」,「デザイン性」の4因子が得られた.「親しみやすさ・癒し」は,同一色相に着目すると,明度の高い方の因子得点が高かった.また,第2因子の「信頼・責任」の因子では,青紫(PB),緑(G)の寒色系や寒色系に近い色相の因子得点は高く,赤紫(RP),黄赤(YR)の暖色系に近い色相や暖色系の色相の因子得点は低かった.

  • ― ショーの前後における自己効力感・集団効力感の比較 ―
    杉田 秀二郎
    2014 年 55 巻 12 号 p. 906-912
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    大学生によるファッションショーにおける心理的要因を調べることを目的として,101名の大学生を対象に調査を実施した.調査はショーの実施前,実施後,および1か月後であり,自己効力感・集団効力感の変化とそれに影響を及ぼす要因を検討した.仮説はショーの前後で自己効力感および集団効力感に変化がみられるのではないか,また学生の専攻するコースでは差はみられないが,ショーでの役割や満足度では差が生じるのではないかとした.分析の結果,ショーの前後で自己効力感および集団効力感に有意な変化がみられた.またコースおよびショーでの役割では差はみられず,満足度では有意な差が生じた.したがって,効力感に関連するのはコースや役割よりも満足度であることが示唆された.

  • 箱井 英寿
    2014 年 55 巻 12 号 p. 913-919
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,競技スポーツにおける選手の装い(競技用衣服と化粧)の効果内容と競技種目との関連を検討するために,196人の大学生を対象に調査を実施した.競技種目を因子分析した結果からは,「得点」「時間」「芸術性」という3つの判定基準に基づく競技種目構造が,装いの効果内容の因子分析結果からは,「対自的効果」「対戦相手への効果」「審判への効果」という3つの効果内容構造が見出された.

    クラブ所属と競技時の装いを独立変数として,各因子の差異を分散分析により検討した.そして,各因子間の関連を正準相関分析により検討した.その結果,芸術性指標の競技には審判への効果意識が高く,時間とスコアの判定基準に基づいた競技では対自的・対戦相手への効果意識の高いことなどが見出された.さらに,クラブ所属学生のみを対象にして実際の競技時における「競技ウェア」の効果を調べた結果,競技種目に関わらず勝敗にある程度効果的であると意識されていることが示唆された.

  • 内藤 章江
    2014 年 55 巻 12 号 p. 920-932
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,「着こなし方」や「着装衣服と着装場面のふさわしさ」などの「着装スキル」を学校教育の中で磨き学ぶことのできる「服育ツール」の開発を目指し,中学生,高校生,大学生の着装規範意識と着装に関わる教育経験について調査を行った.その結果,着装規範は「自己アピールと流行」,「機能性」,「社会性」の3因子で構築されており,属性によって「学校」に対する意識に違いがみられた.着装に関わる啓発・学習経験は,全体の約半数の人が「経験あり」と回答し,その多くが「両親」から学んだと回答した.「服の着こなし方」については,雑誌モデルや友達の着こなしを参考にするとの回答が多かった.着装規範意識の構築要因は属性によって異なり,場面イメージの影響が特に大きく,被服関心度や着装に関わる教育経験の影響も認められた.属性により「学校」の捉え方は相違し,着装に関わる教育は家庭中心で行われているものの十分とはいえないことが明らかとなった.

資料
  • 辻 幸恵
    2014 年 55 巻 12 号 p. 933-941
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    「ゆるキャラ」は地域の特産物や歴史を多くの人々にアピールするためにつくられている.本報告ではどの「ゆるキャラ」が大学生に人気があるのかを中心に調査を実施した.その結果,特に大学生たちの認知が高かった「ゆるキャラ」はひこにゃんとくまモンであった.彼らは大学生たちの好感度も高かった.ひこにゃんは大学生たちからはかわいいそして親しみやすいので人気があった.くまモンはさらに多くの理由から人気があった.かわいいと親しみやすいの他に,いやされる,わかりやすい,ほほえましい,愛嬌があるという理由があった.かわいいと感じる要因は,基調の色が白や黄色であること,丸いこと,動物のモチーフであることなどであった.キャラクターグッズは男子よりも女子の方が所持が多かった.このことから「ゆるキャラ」は女子の目線で作成された方が良いと考える.

  • ― 女子大生・母親・妊婦による ―
    伊藤 海織, 山戸 彩加
    2014 年 55 巻 12 号 p. 942-948
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル オープンアクセス

    母親が着たいと思える授乳服とはどのようなものかを探るのが本研究の目的である.そのために,市販の服をリメイクした7 種類の授乳服を,これから母親になるであろう世代の女子大生と,授乳機能を正確に評価できる母親と妊婦に着用させた.そして模擬授乳動作を行わせ,見た目・授乳機能・授乳時に着用したいかを評価させた.

    結果は,女子大生では流行にそった見た目であることと胸を隠せるかどうかが,母親と妊婦では保守的な見た目であること,自分にとっての着心地と赤ちゃんにとっての肌触りよいことが,その授乳服を着たいかどうかに影響していた.女子大生は肌の露出に対する羞恥心が強く現れ,一方母親と妊婦は授乳を現実的に考えられることで,羞恥心よりも実際の機能を優先したと考える.

  • - 準拠集団行動からの考察 -
    圓丸 哲麻
    2014 年 55 巻 12 号 p. 949-955
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2017/11/28
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    ファッションの多様化・個性化と共に,近年の若者の雑誌離れの傾向が進展している.この傾向は,雑誌媒体を主力のマーケティング・コミュニケーションツールにしてきたファッション業界において,現在最も深刻な問題の1つである.この原因のひとつが,準拠すべき着装規範の変容である.

    しかしながら,この変容に対して,既存の消費者行動研究ではほとんど議論されておらず.加えて,近年の若者がどのようなファッション意識を持っているのか,そしてその意識はどのような要因に規定されるのか,消費者行動プロセスに基づき議論している研究も少ない.

    そこで本研究では,学生を対象とし,被服意識と着装規範と関係を検証する.

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