著者らは,カーテン形状の見え方を対象にカーテンの構成条件や模様の影響について,モデル的なカーテンを使用して検討してきた.これらの研究結果を踏まえ,本研究では市販のカーテンを対象に生地の模様がカーテン形状の見え方に及ぼす影響を検討した.本実験で使用した市販のカーテンは,ひだ形状はセット加工によりほぼ同一形状のものである.
使用した市販カーテンの模様は,クラスター分析により,6つのグループに類型化することができた.
カーテンの官能検査の結果から,無地のカーテンは,ひだが規則的に見え,ひだ量が少なく捉えられるのに対し,縦縞に類型化されたカーテンは,ひだ量は多く模様は不明瞭に捉えられ,総合的評価は低い傾向にあった.横縞に類型化されたカーテンは,ひだは規則的に,ひだ量も多く捉えられ,さらに総合評価も高い傾向にあった.また縦縞が少ないカーテン,模様の大きさが小さいカーテンは,模様は明瞭に認識され,総合評価は高くなった.これらの結果は,著者らがモデル的に製作したカーテンを使用した実験結果と基本的に一致した.