形態安定加工ドレスシャツに関して,洗濯・乾燥後そのまま着用できるノーアイロンレベルを目指して,綿100%織物でW&W 性4 級確保の開発を行った.セルロース系の天然繊維である綿は,元々「縮む」「シワになる」という欠点があり,これを抑制するため,液体アンモニア加工及び樹脂加工を施して綿繊維を改質した.樹脂加工は,セルロースの非結晶領域のヒドロキシル基(OH 基)を,反応性の樹脂剤で架橋結合させるもので,この架橋結合によって形態安定性を得ることができるが,この架橋結合が一部分に偏在化してしまうと,生地強度が大きく低下する.この偏在化を最小限に抑えて繊維内での架橋を均一化させるため,樹脂加工工程の各種条件と使用薬剤等の工夫を行った.更に,シャツ縫製・プレス後に熱処理を行い樹脂反応させる,ポストキュア方式を組み合わせた.これにより綿100%素材でW&W 性4 級レベルを完成させ,洗濯してもシワが残らないドレスシャツを完成させた.
マイクロバブルによる洗浄力の向上を目的に,界面活性剤の種類及び濃度の影響について検討した.また,その時の気泡挙動についても合わせて検討した.その結果,界面活性剤の種類に関わらず,界面活性剤濃度が増加するに従い,気泡径が小さくなり,マイクロバブルの洗浄効果が向上することが明らかとなった.また,界面活性剤を添加することにより,気泡安定性も向上することが分かった.しかし,高濃度の界面活性剤溶液中では,汚れの洗浄性は向上するがマイクロバブルの効果が低下することが分かった.さらに,陽イオン界面活性剤を使用した場合でも,マイクロバブルの洗浄効果は低かった. 従って,陰イオンもしくは非イオン界面活性剤を臨界ミセル濃度の20 分の1 から6 分の1 の濃度で添加することで,マイクロバブルを有効に活用できることが分かり,洗浄技術としてのマイクロバブル利用の可能性が示唆された.