本研究では,より皮膚性状に効果的な加工を提案することを目的に,卵殻膜とリン脂質ポリマーの同時加工布を用いてアームカバーを作成し,20 歳代から60 歳代までの女性被験者20 人の上腕に7 週間装着させて,皮膚性状(皮表角層水分量,経表皮水分蒸散量,皮膚の弾性回復,スンプ法による肌荒れ率)を測定し,「つるつる‐ざらざら」感の主観評価を行わせた. 皮表角層水分量については加工布の効果は明瞭ではなかったが,経表皮水分蒸散量については,どの年齢層においても加工布でブランク布よりも少なくバリア効果が認められた.また,その効果は,加齢するにつれて大きくなり,60 歳代では危険率1%で有意であった.皮膚の弾性回復,肌荒れ率,主観評価においても,ブランク布に比べて加工布において良好な方向へ移動する傾向が認められた.