中実繊維層-中実・中空繊維混合層-中空繊維層からなる複層の「ブレスエアー®」を開発し,敷布団としての体圧分散性,寝床内温湿度を検証した.開発品は,現行品,対照品A,対照品B よりも圧縮時の応力10 kPa 以下での変位が大きく,柔らかいため,仰臥時の接触面積が大きく,臀部の圧力が低くなり,体圧分散性に優れる傾向がみられた.暑熱環境下での寝床内湿度は,開発品が現行品,対照品A,対照品B よりも低く,むれにくく感じる可能性が示唆された.中実繊維層側を上にして,スキンモデル装置を設置して行った実験結果から,開発品の中実繊維層側は,現行品,対照品A,対照品B よりも通気性があり,水分が拡散されやすかったと推測する.複層の「ブレスエアー®」は,単層の「ブレスエアー®」や対照品A,対照品B よりも優れた体圧分散性や,むれにくさを提供できる可能性が示唆された.
静電植毛加工は,加飾や機能付与を目的として多くの製品に用いられている.しかし静電植毛加工品の植毛強さ評価の公定法はJIS L 1084「フロック加工生地試験方法」だけである.この規格は,フロック加工をした織物,編物など生地の試験方法について規定され,摩擦試験機を用いて評価を行う.本研究では,樹脂フィルムを用いた静電植毛加工品の植毛強さ評価の妥当性について検討を行った.フロックの長さに着目し,0.3 mm,0.5 mm,0.8 mm の製品で試験した.その結果,摩擦試験によって植毛強さを評価できたのは,0.3 mm だけであった.フロックが摩擦子を浮き上がらせる,又は摩耗子と接着層の間のフロックが滑面と成るのが見られた.このことから摩擦試験機を用いて静電植毛加工品の植毛強さを評価する時は,長いフロックが緩衝作用を発揮して,植毛強さの評価値を見かけ上増大させることがある事がわかった.
本研究の目的は,20 歳から79 歳までの10,800 人の大規模サンプルを用いて,外出着の着装基準を類型化し,その性,年代別の特徴を検討することであった.クラスター分析の結果,外出着の着装基準は「全基準重視型」「機能・規範重視型」「個人的嗜好・流行重視型」「無頓着型」の4 つに分類された.χ2 検定の結果,対象者の4 つの着装基準の分類と性,年代の間に統計学的に有意な関係が認められた.着装基準の性別の特徴を見ると,男性では「機能・規範重視型」,女性では「全基準重視型」が最も高い割合を示した.また年代別の特徴では,男性においては,20 代は「全基準重視型」,30 代は「個人的嗜好・流行重視型」,40~70 代は「機能・規範重視型」の割合が,女性においては,全ての年代で「全基準重視型」の割合が,それぞれ最も高かった.