私たちの生活の中では,単色のモノであっても,その見え方は必ずしも単色とは限らない.店でディスプレイされている服は,その形や照明の影響などで,明るいところ,暗いところが出てくる.そのような状況であっても,私たちは容易に単色の服と判断することが可能である.しかし,どこを見て,どの様な色と認識しているのか,また,人々が同様の色として認識しているのかどうかはわからない.そこで,本研究では,衣服画像を用いて,服のどこを見て色を判断し,その色をどのような色と判断するのか調査を行った.実験では,オンラインショッピング環境を再現し,単色の服には限定したが,様々なタイプ,提示方法の衣服画像を用い,評価実験を行った.その結果,しわを少なく提示したものに被験者間の色の共通認識が見られた.しかし,衣服の主な色と認識色が必ずしも一致するものではなかった.また,しわのあるものや,モデルが着用したものは,色判断の場所や認識色が被験者間で大きく異なる場合があるということが示された.
本論文では,身体装飾としてのタトゥーとピアスに着目し,2 つの目的を設定した.1 つ目は,若年層におけるタトゥーとピアスによる身体装飾のイメージを明らかにすることである.2 つ目は,これらを用いた他者の身体装飾への抵抗感を公共空間という視点から明らかにすることである.都内の大学生482 名に質問紙調査を実施した結果,以下の点が示唆された.タトゥーが持つ両価的なイメージのうち,ネガティブなものは確固としてあること.そして,それは公的自意識と関連する可能性がある.また,公共空間での他者のタトゥー・ピアスへの抵抗感は,肌の露出が一つの要因として挙げられること.但し,他者が外国人である場合,その捉え方は異なる可能性がある.以上を踏まえ,今後さらに継続的な議論を進めたい.