作業の時間分析の研究は現在工業生産のあらゆる部門にわたって活用されているが, 被服工作の面ではまだ不充分である.そこで, 著者は既報の紳士服の分析にひきつづいて, 和服単衣長着の時間分析をおこない, 縫製作業を数量的にはあくし, その合理化の方策を考えることとした.
〔A〕被検者, N女子大生30名により縫製作業を観測した結果は次のようである.
(1) 女子大生の和服単衣物総作業時間の平均は約6時間である.
(2) 総作業要素度数は約200回で紳士服背広の1/3である.
(3) 作業姿勢の割合は座姿勢が約80%, 立姿勢が約20%である.
〔B〕作業の時間分析の結果, 縫製の合理化のポイントは次の諸点である.
(1) 作業要素のうち「縫う」「くける」は作業能率を左右する最も大きな要因である.
(2) 「縫う」「くける」の作業の合理化の方策として次の2通りが考えられる.
(a) 手による縫製の場合, 熟練の度合をひきあげる.
(b) 手にかわって機械を導入する.
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