フォーム衣料に適合するミシン針・縫糸を検べるために, 基布の性質を異にする2種のウレタンフォーム衣料と, 形状・太さを異にする10種のDB用ミシン針, 性質を異にする5種の縫糸, DB型・HA型ミシンを用いて実験を行なった.
その結果, 針の布におよぼす影響は, 基布の組織・厚さと密接な関係のあることが認められた.基布が緯メリヤスで, 薄く, 編目のゆるやかな場合は, フォームが比較的厚くても, 針のまさつ熱の発生は少なく, 繊維の溶融度も低い.針は, 先頭部が放物線状をなし, 先端がRアールをもつものが規格形の針よりもまさつ熱の発生が少ないが, 針の表面に, 浅くて, こまかい不規則な網目状の凹凸がつけられているものは更に少ない.
縫糸は, 動まさつ係数が小で, 伸度・残留伸びの大なる糸が適合性が大である.ポリエステル系のスパン縫糸は, この要求を満たす縫糸と云える.この縫糸の可縫性を高めるには, 針穴内面がよく研磨されていて, 滑りのよいことが条件となる.針の表面に凹凸がつけられている針は, 針穴内面にもこの傾向がみられる.
針の太さについては, 細い針がまさつ熱の発生が少なく, 繊維の溶融度が低いが, 針の耐久性のことを考慮して11番の針が適する.
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