本研究の目的は,冷涼環境下における足部温水浴が,人体の体温調節反応および自律神経活動に及ぼす影響を,冷え群と非冷え群に分けて調査,検討することである.被験者は健康な若年女性で,寒冷時足趾部皮膚温が低下しやすい冷え群6 名と冷えにくい非冷え群7 名を対象に,20℃,50%RH の人工気候室(着衣0.4clo)で,42℃,15 分間の足温浴を行ったW 条件と,行わなかったC 条件での,舌下温,皮膚温,指尖部皮膚血流量,背部発汗量及び心拍変動を測定した.温浴により舌下温と指尖部皮膚温は両群とも有意に低下し,低下度は冷え群で大であった.足部・下腿部皮膚温及び平均皮膚温は両群とも有意に上昇した.指尖部血流量は,冷え群でC 条件よりW 条件で有意に減少した.自律神経活動については,有意な変化はみられなかった.冷涼環境下における足温浴は,生理的に深部体温の低下を招くこと,特に末梢が冷えやすい冷え体質の人で,そのリスクが大きいことが示唆された.
私服を着用して勤務する大学の女性職員24 名に制服を着用して勤務してもらい,私服着用時と制服着用時で,作業効率や仕事時の状況,職場のチームワークにどのような違いがみられるか調査 した.さらに,同大学の女子学生86 名を対象に私服着用時と制服着用時の事務職員の印象について調査し,次の結果を得た. (1)指定された3 文字を検索する検索問題では,文字検索数は制服着用時の方が私服着用時より有意に多かった. (2)仕事時の状況については,制服着用時の方が私服着用時より緊張感が有意に高く,私服着用時の方が制服着用時よりも有意に動きやすく違和感がないと評価された.チームワークに関して,私服着用時と制服着用時に有意な差はみられなかった. (3)学生による評価では,制服着用時は私服着用時より「信頼性・外見のよさ」の評価が有意に高かった.