柔軟仕上げ剤「ハミングFine」は,従来の柔軟仕上げ剤が有する柔軟性や残香性,抗菌性,消臭・防臭効果などの特長に加えて,汗をかいた時に感じる衣類のベタつきの一因である濡れ戻りを抑制するドライ効果を有する.我々はこのドライ効果に代表される「着ごこち」価値に注力した商品開発を実施している. 今回,消費科学フロンティア賞を受賞した柔軟仕上げ剤におけるドライ技術の開発について報告する.
異なる裏地の素材・撚糸及び表地との組合せの違いが,盛夏用ビジネスパンツの着用快適性に影響するか否か検証し,好適な商品設計の基礎的アイデアを得ることを目的として,被験者による2 種類の着用実験を行った.官能評価では被験者14 名,温熱生理評価では1 名とした.その結果パンツの清涼感,触感,好感度,温熱快適性,動作快適性は,裏地の素材や構造,および表地との組合せにより異なることが判明した.裏地の通気性を高め熱水分移動特性を向上させても,風合いや触感を損なう場合は,パンツの清涼感向上の効果は得られなかった.特に,皮膚に直接触れる裏地は,力学特性(風合い,触感)が温熱快適性に大きく影響すること,さらに素材はキュプラが,その糸条形態としては撚糸,続いて無撚の順で,それぞれ盛夏用パンツの裏地として好適であることが明らかとなった.
本研究では,衣服の見え方と布の力学特性との関係を明らかにすることを目的とした.剛性の異なる5 種類の布(ジョーゼット,デシン,トロピカル2 種,タフタ)を用いてハイウエストの切り替えのあるギャザーチュニックを製作した.各実験衣を人台に着用させた状態で,女子大生を対象として,実験衣の「大きさ」の見え方について一対比較法を用いて調査した.その結果,タフタが太く,ジョーゼットが細く見えた.実験衣の「美しさ」と「好み」についても同様に調査したところ,ジョーゼットが最も美しく,好ましいという結果になった.また,布のドレープ性,引っ張り剛性,せん断剛性を測定した結果と見え方の間に関連性が認められた.すなわち,ギャザーのある本実験衣では,布が柔らかいほど体型が細く美しく見えるということが実証された.