本研究では,繊維・アパレル産業における為替変動に連動した取引関係の経年変化を捉えるため, 2005 年度から2010 年度における総合アパレル部門200 社分の取引関係データに関して,ネットワーク諸指標を用いることで定量的評価を試みた.本研究では特に,繊維・アパレル産業の企業間取引ネットワーク全体に関して分析するために,マクロ的ネットワーク指標として総枝数,平均次数,ネットワーク直径,ネットワーク密度を用いた.その結果,企業間取引ネットワークの広がりを示す指標であるネットワーク直径と為替変動について,負の傾きを示す回帰式(決定係数R2=0.793)が得られた.この結果によって,円高傾向時においては取引数が増加し,円安傾向時においては取引数が減少するというネットワーク構造の変動を定量化可能なことを確認した.