自然派であることを強調するために食品材料等を用いて洗浄を行う,いわゆるナチュラルクリーニングが一部の消費者の間で流行しており,関連する情報が多数使われている.しかし,それらの情報の中には科学的に誤った内容も含まれているように思われる.そこで本研究ではアルコール飲料の中でもビールを用いた洗浄に着目し,消費者情報の一般的傾向を探るとともに,各種情報の真偽を検証した.消費者情報では洗浄へのビールの活用は,油汚れに有効とされ,その要因としてアルコール,ビタミン,酵素,タンパク質などが挙げられていることが分かった.実験的検証の結果,SDS ほどではないが,水洗いに比すると油性汚れの洗浄性が高く,アルコール濃度の高い日本酒や洋酒以上の洗浄性を示した.洗浄試験により洗浄力の要因を推定した結果,アルコールとタンパク質の複合効果によるものである可能性が示唆され,消費者情報で主流のビタミン説は否定された.
日本の繊維産業を支えた女性労働者たちには,目標を持ち,学び積極的に生きる力という教養を持っていたことを第1 報で明らかにした. 第2 報では,現在の日本の女子短大生に,産業興隆期の女性労働者たちが持っていた教養が存在するかを,進学理由,将来の労働に対する考えなどのライフスタイルアンケートにより検証することを目的とした.手段として,現在産業興隆期であるベトナムからの留学生の労働意識を比較検討 した. その結果,現在の日本の女子短大生には,ベトナム人留学生に見られる労働意欲は見られなかったが,社会の豊かさが労働意識に大きく関わってきていることが見えてきた.この豊かな社会の中で,どう意欲ある労働意識のモチベーションを保たせるかが,我々大学教職員の課題だと考える.その課題を解決するために,社会とのネットワークを活用し,学生一人一人に,社会を支える一員であることの自覚と自信を持たせ,女子短大生の労働意識を高めることが,社会の発展につながると考える.